[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。
「明日ボストンへ行ってもらえないか?カスタマーでトラブルが発生しているんだ」
「え~?明日ですか~?」
お盆だというのに人使いが荒い上司に逆らえるわけもなく、ボストンへ出張に行きました。プライベートで行った前回のロスの木工ショーからわずか2週間しか経っていないのに、また飛行機に乗ることになってしまいました。
ボストンはマサチューセッツ州にあり、ニューヨークの北側の大西洋岸ににあります。数年前にもボストンに出張で来ましたが、そのときは真冬で仕事が終わってから市内を散策しただけでした。
よっしゃ!今回はシェーカーのふるさとを訪ねるぞ!
と心に誓い、2003年8月14日(木曜日)にボストンへ到着しました。その日の夕方はアメリカ東部は歴史的な大停電で大騒ぎに。幸いボストンのあるマサチューセッツ州は停電を免れました。ラッキーです。
木曜、金曜で仕事を終わらせ、土曜日は前から行きたかったハンコックシェーカービレッジを訪ねました。
詳しい説明は他の文献にゆずるとして、シェーカー教はマザー・アン・
リー率いるキリスト教から1747年に分離した宗教です。集団生活をして酪農品や木製品などを販売して生計をたてていました。共同生活、懺悔、男女平等、禁欲、独身主義、勤勉、質素を心掛けた宗教団体です。当初は礼拝時に激しく身体を揺らした(シェークする)ことからこの名前が着きました。アメリカの東部を中心に各地にシェーカー村が作られました。今でもいくつかは現存して、博物館になっています。
ウッドワーカーにとってはやっぱりシェーカーが作り出した木製品が気になるところです。シンプルで洗練されたエレガントなデザインを私は大変気にいっていて、いくつかレプリカでリプロダクションを作りました。
ハンコックシェーカービレッジはボストンから車で3時間あまり。ニューヨーク州との州境にあります。夏の土曜日とあって郊外へ向かうハイウエイは交通量が多かったです。屋根にカヌーを積んだ車も数多く走っています。ここらへんは湖や川が多いからなのですね。うらやましい環境です。手作りらしきウッドカヌーを積んだ車もいました。
シェーカー村は緑の多い静かな山あいにありました。
この土地はシェーカー教に改宗した信者によって寄贈されたもので、実際に1783年から1960年までシェーカー教徒が生活をしていました。独身主義でしたので、新たに信者になる人が少なくなった結果、衰退して行ったのでしょうか。現在はシェーカーの当時の生活を保存し、公開するための博物館になっています。
入り口で入場料15ドルを支払ってまずはシェーカーの歴史を説明してくれる映画を見ます。このビジターセンターは2000年に新築されたそうで、新しかったです。ビデオの上映には日本語でも説明が付きますし、日本語のパンフレットも用意してありました。きっと日本からのお客さんも多いのでしょう。
この上映館の椅子がいきなりシェーカースタイルのセトルです。レプリカは作りましたが、実物(といってもこれもリプロダクションでしょうが)をみるのは初めてなので、ちょっと興奮しながら座りました。う~んこれはこの先が楽しみです。
場内の撮影は自由でしたが、フラッシュ禁止だったので、写真によってはちょっとブレているものがあります。ご勘弁を。
中ではいくつかのガイドツアーに参加できます。ガーデニングに興味がある人のためのツアー、賛美歌や礼拝に興味がある人のためのツアーなど30分程度のツアーがいくつもあります。
私は当然のことながらウッドワーキングのツアーに参加しました。
シェーカーは村によって得意とする生産物が違っていたそうで、ここハンコックはこのオーバルボックス(だ円形の入れ物)で有名だったそうです。
その昔まだタッパーウエアなどのプラスチックの容器もブリキの缶もなかった時代ですので、この生産品は結構売れたそうです。その後ブリキの缶が登場してからは大幅に売り上げが落ちたそうです。
作り方を丁寧に説明してくれました。
こちらはワークショップです。スクロールソー(糸ノコ)やレイズ(木工旋盤)それにバンドソーなどがあります。ここのワークベンチ(作業台)が大変立派でした。あんな作業台が欲しいです。
お馴染みのシェーカーチェアのショップもあります。
この美しい建物がブリックドウェリングとよばれる、この村で中心的な建物です。すべての信者はここで生活をしていました。内部は真ん中の廊下を境に左右対称に作られていて、男性信者と女性信者にそれぞれ別れて生活をしていました。
下が台所と食物倉庫になっています。意外なことに酒樽が。説明によるとシェーカー教も初期の頃はアルコールの摂取を認めていたそうです。しかし後になっていろいろと問題が発生したために、禁酒が基本となり、薬としてしかアルコールは摂取しなくなったそうです。
上が食堂、集会所、それに住居になっています。
この建物もすべてシェーカー教徒による手作りです。もちろん素晴らしい家具もすべてシェーカー教徒による手作りです。家具のこまかいディテールを観察しましたが、これらの家具をハンドメイドで作るとは驚くべき技術を持っていたことがわかります。
建物の窓もすべて手作りです。写真では伝えきれない繊細さにため息が出ました。
各部屋も質素そのものです。昼間は労働で疲れた身体をここで休めたのでしょう。いたるところにシェーカー家具が陳列されていて、思わず見入ってしまいます。
ずらっと並べられたシェーカーチェアの数々。
この部屋は裁縫部屋のようです。衣服も自分達で調達していたようです。
なが~いセトルを発見。何人が座れるのでしょうか?シェーカー椅子は使用しない時は写真のように壁につけられたシェーカーペグに逆さにして下げられます。
ハンコックシェーカービレッジで一番有名なラウンド・バーンです。バーンとは家畜小屋のことです。バーンといえばよく北海道などでみられる、カマボコ型をしたものが普通ですが、これは円形をしています。真ん中に干し草を入れ、その回りを囲むように牛が配置され、牛の排泄物は穴から地下に落とすという、とても合理的な作りをしています。
シェーカーも19世紀に入ると水力を利用して木工機械を動かしていたそうです。近くの池から水を引き、それでタービンを回していたそうです。水車ではなくてタービンです。これには驚きました。木工機械はプレーナー、ジョインター、テーブルソー、バンドソーそれにレイズなどが並んでいます。これらの機械にタービンからの回転を平ベルトで伝えています。しかもその平ベルトがメビウスの輪のように一か所ねじってあり、革製のベルトの両面が平均的にすり減るようになっています。よく考えられています。
デモでは水門を開けてタービンを回し、バンドソーとレイズを使用するところを見せてくれました。
テーブルソーを発見!
このウッドワーキングの他にもブラックスミス(鍛冶屋)のワークショップもあり、そこでは馬車の車輪などを作っていたようです。そこもここと同様に水力でメタルワーキングの機械を動かしていました。
テーマパークや博物館に付きもののギフトショップ。だいたい帰り道には必ずギフトショップを通るようになってますよね。いつもはツーリストジャンク(いわゆるお土産)には見向きもしないのですが、ここは違います。たくさんのシェーカー家具や小物がずらずらと。たっぷり見て楽しめました。特にシェーカーに関する本が充実していました。あれだけの品揃えはamazon.comよりもずっとすごいです。(結局なんにも買わなかったけどね)
夏休みの週末ということもあって、結構にぎわっていました。ウッドワーキング好きのお父さんもたくさんいました。家具を見る時に引き出しの接合部を見たり、ドアのパネルの接合部を見たりしているので、横で彼等を見ているとすぐに分かります。(^^) やっぱり見るところは同じなのですね。
突然の出張から実現したハンコックのシェーカー村の旅でしたが、大変面白かったです。実際にシェーカーたちが作った家具に実際に触れてみて、その洗練されたデザインとクオリティーの高さに驚かされました。
このようなシェーカー村は東部を中心にいくつかあります。オハイオ在住のウッドチャックさんの近くにもあるそうです。これから出張で東海岸を訪れるたびにひとつずつ訪れたいです。皆さんも旅行や出張したときなどいかがですか?ニューヨークからも3時間あまりのドライブです。ハンコックだけではなく、この周辺にはマウントレバノンやオールドチャタムなどのシェーカー村があります。
こちらがハンコックシェーカービレッジのホームページになります。(別ウインドウで開きます)