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チャタリング (Chattering) といえば電気関係に詳しい方ならスイッチのチャタリングを思い浮かべると思います。また「おしゃべり」のチャットも同じ語源です。
レイズでもチャタリングという用語を使用します。このチャタリングはスピンドルターニング特有の現象で、細長いワークピースが弦のように振動することをいいます。木材が弾性体であるが為に弾性体振動が発生するのです。この現象はワークピースが細く、そして長くなるほど顕著に現れます。また木材によってもチャタリングの発生のしやすさに差があります。これは木材のヤング率によって決まります。
私の好きなシェーカースタイルは一般に細長いターンを多用しますので、このチャタリングは避けて通れません。
このチャタリングは実際に体験してみないと、どんなものかはちょっと分かりにくいです。言葉で説明するなら、細長い材をターニングすると切削刃がワークピースに触れたとたんに、ワークピースが刃との間で細かく振動をはじめます。この振動のために滑らかに削れなくなります。
ヘタクソですが、アニメを作ってみました。これでおおよその感覚が理解していただければと。(^^;
振動の発生する「腹」と「節」の位置は高校の物理で習った両固定端振動(弦の振動)そのものなのですが、ワークピースそのものが均一な太さでなく、密度も均一でないために厳密ではありませが、理論通りに長さの1/2付近のところでもっとも顕著に現れます。
これを避けるにはスタビライザーを使用します。ワークピースの振動の発生を抑えてしまうものです。スタビライザーにはベアリング等を使用したメカニカルなもの、糸や紐を利用したもの、そして片手を添えてスタビライザーにする、という3種類があります。
糸や紐を利用するのはワークピースが極端に細いもの、ワイングラスの脚の部分を作るときなどに使用します。私は使用したことがないです。
ベアリングを使用したものは3点、4点式のものが市販されています。私は雑誌の記事で紹介されていた2点式のものを自作しました。3点、4点式はワークピースが細くなるにつれて調整が必要ですが、この2点式は重りが下がり、自動的に調整してくれるというものです。
写真を見ていただければ、おおよその原理がお分かりいただけると思います。
市販のスタビライザーもあります。これはベアリングで3点を支えるものです。
最後に紹介するのが、片手でスタビライザーの働きをさせるものです。高度なテクニックですので、十分に練習を積んでください。切削刃の先端を親指でコントロールして、その他の指でワークピースを包み込むようにして保持し、振動の発生を押さえるというものです。この方法ですとスタビライザーの調整の必要がなく、効率的に作業ができます。
写真は右手が切削刃のすぐ近くにあります。この位置でキャッチ(キックバック)を受けるとかなり危険だということに留意してください。。
ベアリングでチャタリングを抑えるポイントがわかったところで、練習してみてください。滑らかに削れるようになります。