文字通りポケットを作り、そこにスクリュー(木ネジ)を使って固定する接合方法です。ポケットスクリューとかポケットホールとか呼ばれます。ポケットの大きな穴が空くので見える場所には使用できませんが、家具の隠れた部分には威力を発揮します。この接合方法はまず第一に早いです。ホゾ、ホゾ穴を使った接合よりも格段にスピードアップできます。そして強度もあります。キャビネットのフェイスフレーム(正面のフレーム)の接合にはプロも好んで使用します。まず接合したい部分にポケットを作ります。接合面に接着剤をうす〜く付け、あとはネジで固定するのみ。ビスケットのように接着剤が乾燥するまで待つ必要もなく、即座に強度が得られます。
大きく分けて2種類あります。一つはステップドリル(大きな直径のドリルの中心部に小さなドリルがある)を使用する方法。これは手軽にできますが、ドリルで穴を空けるのに時間がかかる上、仕上がりが汚く、ドリルの周囲にささくれがかなり出ます。ドリルで鋭角に穴を開けるのは難しいようです。写真は市販のステップドリルです。大きな直径でポケットを掘り、先端の小さな直径のドリルでパイロットホールを開けます。もしこのステップドリルを購入するのであれば、先端のドリルが交換可能なものをお勧めします。万一先端のドリルが折れても交換ができます。写真左側のドリルは小さな直径のドリルが折れてしまいました。(T_T) $20近くした高価なドリルだったのですが。
もうひとつがルーターとドリルを組み合わせたもの。プロが生産現場で使用するマシンと原理は同じです。ルーターにストレートビットを付け、ななめ下から穴を空けます。つぎにドリルでパイロットホールを空けます。ワン・ツーアクションの2ステップです。これだとバリも出ないし、とても綺麗なポケットがわずか数秒で出来ます。
市販のポケットホールのマシンは安いものでも$600近くする高価なものです。私は手持ちの工具を組み合わせてポケットホールマシンを自作することにしました。
使用した電動工具は2種類。まずはドリル。私が初めて買った電動工具です。最近は使われずに物置きで埋もれていました。あとハンズで買ったドリル台も使われずにいたので、これを活用することにしました。
それからルーター。これはずっと前にアメリカに出張に行った時、値段につられて買ったものです。(確か$35でした。)しかし所詮安物。全く精度が出ず、数回使っただけでお蔵入りしていました。このルーターにストレートのビットを使用します。構造はいたって簡単。ルーターを蝶番に固定してナナメに動くようにしただけです。この他にトグルクランプなどすべて工房にあったものを使用しました。
ポケットホールの固定は通常の木ネジでも可能ですが、専用のネジを使用したほうが満足のいく結果が得られます。スクエアドライブとなっていて通常のプラスねじのようにネジが進む方向へ力を加えなくてもネジが回せるようになっています。ドライバーも専用のものを使用します。それから先端がキリ状(ドリル状)になっており、下穴なしでも割れることなく、堅い材質にネジ止めできます。ポケットスクリューをここまで普及させたのはこのネジの発明によるところが大きいです。
簡易版ポケットホールです。実用にはイマイチですが、ポケットホールの感触がわかります。まずはドリルプレスで15mmぐらいの直径の穴をあけます。板厚の半分ぐらいまであけます。その穴の底の角にパイロットホールを開け、木ネジで固定します。
手持ちの工具を組み合わせることによりマシンが出来ました。数秒で綺麗なポケットが作れます。ポケットスクリューは精度、強度、スピードを兼ね備えた接合方法です。家具の見えない部分に活用してみてはいかがでしょうか?
木工も時にはスピードが必要です。私のようなアマチュアでは木工を楽しむのは休日のみです。しかも一日中木工ができる訳ではなく、家族と過ごす時間も必要です。いくら本人が楽しくても、いつまで経っても出来ない作品をダラダラ作っていては家族の理解も得られません。このポケットホールに代表されるような工法でパっと短時間で作品を作り上げて「きゃ〜お父さんカッコイイ!!」と言われてみては?
ポケットホールの作品への応用例はカントリーベンチとベッドサイドキャビネットがあります。
ポケットホール治具で有名なKregから改良型の治具が発売になりました。既にKreg社のポケットホールをお持ちの方はすぐにわかると思いますが、ダストコレクターのためのポートが追加になりました。あとクランプのハンドルの位置が変更になって使いやすくなったようです。
木工ショーではいつもこのKreg Jigがデモをやっています。写真のキットにビデオや大量のネジ、その他のオマケが多数付いて100ドル程度とお買い得なことから、
木工ショーに参加された方はかなりの確率で買って行きます。
また付属のドリルビット(ステップドリル)は木工ショーの時に持参すれば、無料で新品に交換してくれます。今後木工ショーに参加される方で、Kreg Jigを持っている方はお手持ちのドリルを持参するのをお忘れなく。(^^)